ヘレサーノインタビュー
フ ツーに暮らす
フツーのヘレサーノに
インタビュー
AMAMDA ROMAN BUITRAGO
(アマンダ・ロマン・ブイトラゴ)
 
大きな大きなキャンバスに
絵を描く姿は
とっても生き生きと見えた。
仕事がないなら
自分で仕事を作り出す。
フィエスタ会場のムラル(壁絵)
を作るアマンダにインタビュー
 
◆インタビューに関する日記
 
2011年 4月14日
インタ ビュー: 堀江 啓子
 
 
 
ヘレス生まれ。UNIVERSIDAD DE BARCELONA(バルセロナ大学) BELLA ARTE(美術)学部卒業。現在ヘレスに戻り個展の開催、 CDや本、ポスター等のデザイン、最近は部屋や店舗、フィエスタ会場のムラル(壁絵)作りを中心に活動。

デザイン・絵の制作引き受けます。彼女の作品に関してはこ ちらまでお問い合わせいただければ過去の物をご紹介します。メールにアマンダ・ロマンについての問合せである事を銘記してメールをお 送りください。

アマンダの手描きTシャツ販売開始しました!(2012年5月31日)
 
ー ヘレスでの生活ってどう思いますか?
Amanda. 良いと思う。すごく大きくもないし、すごく小さくもない町で、映画、音楽、展示会、劇場等一通りなんで もあって、でも静かで、ストレスが無く何かをやるろうと思うと必要な物は一応揃っている、良い町だと思う。
地理的にも海にも山にも近いし。
もしそれに仕事があればすごくいいのだけれど、問題はそこにあって。

もしちゃんと仕事が あってここに住んでいるのならパーフェクトだと思う。

ー でもここで仕事を探すという事は難しい?
Amanda. そう、それが問題で。
それでここでは危機的な状態(crisis)に陥る事が多々ある。
でも普通、出口が見つからなければほかの出口を見つけなければならない。例えば自分の場合、仕事が無くて材料等を購入する事ができない事があるのでアー ティストのみで生計を立てて生きていくのは難しい。なので想像力を働かせて別の出口を探す必要が出てくる。

buscarte la vida como la paquera
パケーラのように人生を探しなさい
とここの人たちが言うように。
※パケーラ・デ・ヘレス:ヘレスのフラメンコの歌い手。1934~2004年。

もし仕事を探し出す事ができてここに住むのであればパーフェクト。
マドリッドやバルセロナやセビージャのような大きな都市には無い、ストレスの無い質の良い暮らしがある。
 
シェ リーボデガを改装して作られたフィエスタ会場に絵を描くアマンダ。
足場を移動させ、大きな大きなキャンバスにぶどうの絵を描いていく。
ー その質の良い暮らしをしたくて皆ここから出ないんですよね?外国人の私から見ると仕事が無いと言いながら、実際、本当に仕事が無くて、すごく生活に困りな がらもここから一向に出ようとしない人々が不思議で、逆に興味深く感じられる。
Amanda.

でも自分は本当は他の土地に行き たい気持ちが強い。色々な文化を見るのが好きだから。
だけどフアン(パートナー)がヘレス大好きで。もうヘレスヘレスヘレスヘレス・・・ヘレスが一番なので私はここから出ることができない。

  アマンダのデザイン。上から本のしおり、CDジャケット、美容クリームのパッケージ。  
   
     
   
     
   
   
   
 
ー ああ、フアンにも話を聞いてみないと(笑)
Amanda. 彼はヘレスはどこよりもいい場所だと踊り出すんじゃないかな。

私はここには長所も 欠点も両方あると思う。

ある程度の物は揃っ ているけれど、無いものも沢山ある。
例えばヘレスでアトリエや個展を行う場所を探してみる。そんな場所がなかなか見つからないし、一人で場所を借りても料金を支払い続ける事が難しいので、 アーティストとして絵を描く人や彫刻を作る人、皆で場所を借りて、作業をしたり、個展を行ったり、有名なアーティストを招いてクラスを開催したりしたいと する。そんな場所はヘレスには無いので、これで一つ考え、実行する機会が与えられるよね。私が大学時代住んでいたバルセロナであればそんな物は既に存在す るわけで、何でも揃っていて普通だとイメージできないような物まであって、自分で考える必要が無い。だけどここには無い物が沢山ある。
なので、ネガティブに「ここにはなんにも無い」と言う事もできるし、ポジティブに「ここに無いから考えて、やる機会が出来る」と言う事もできる。

全ての事にポジティ ブな面とネガティブな面がある。

ここには好きな部分 と嫌いな部分がもちろんあるけれど、いつも不平ばかりを言うのは嫌。
それよりもそこから何か出来ないか前向きに考えていきたいと思う。

ー アマンダは何を学んだんですか?
Amanda. 私はバルセロナの総合大学で美術(bella arte)を専攻しました。
バルセロナはヘレスとは全く違った土地で、そこで大学生活を送ったという経験は私にとってはすごく良い経験でした。
ー ここよりバルセロナの方が好きだった?
Amanda. 正直にいうとそうです。それにバルセロナでの友達の方がこちらでの友達よりももっと仲良くなれました。 こちらには30年以上いるのに、向こうで暮らした4年間に出来た友達との方が強い友情を感じる事ができました。
ー それは大学生活だったからでは?
Amanda. それはそうかも。同じ専門を勉強する仲間だし、分かり合える事も多いから。
ー それに皆が一人暮らしをスタートするわけで
Amanda. そうですね。その人の好きなようにやれるわけだしそれ程仕事をする必要はないし。私の場合奨学金もあっ たからただ勉強しなきゃいけないだけ。

それに(バルセロナ だと)日曜日起きたら美術館に行ったり、一日中どこかに音楽があったり、お金が無くても無料で体験できることが沢山あって、決して退屈する事がなかった。

皆カタルーニャの人 は閉鎖的だと言うけれど、確かに一見そうだけれど、一度仲良くなると本当の友達になる。一生友達でいる事ができる。もう1つカタルーニャの人々で好きだっ たことは敬意を持って人と接する事、堅実な事。例えば頭の中に計画している事を話しても自分と一緒にそれについてまじめに話してはくれても、「そんなばか ばかしいこと言って」と笑ったりしない事。

ただ、こちらだと田 舎だしいつも誰かが近くにいる事が多いけど、向こうは大きな町だし皆やるべき事があって一人でいる時間も多かった。

色々な事を含めて私 にとってはバルセロナでの生活はとても良い経験だった。

ー この辺では一般的にカタルーニャの人は閉鎖的で、アンダルシアの人は開放的だと言うけれど、私にはそうは思えない。例えばヘレスの人は実際閉鎖的だと思 う。
Amanda. そ うそう。最初は開放的に親しく声をかけてくれるし大きな声で話したりするけれど、それから「じゃあ今度いついつ会おう」という話になると「ああ.... いっぱいやる事があって」となる。
バルセロナでは反対だった。最初の1ヶ月は私は本当に一人だったけど、一人と仲良くなるとどんどん皆と仲良くなる事ができた。
ー でももしかするとそれは共に大学生活を送る仲間だからでは?外部の人も居るし、色々な人がいるんじゃない?
Amanda. バ ルセロナの良い所はなんでもあること。他から来た人も多いし、もう一つリラックスできるのは外にどんな格好で出ても良い事。こっちだと逆で、私はいつも 「外に出るからこの洋服を着て」となる。それはそれでいいんだけど、ある日バルセロナで友達も出来て、土曜日の夜、御飯食べてクラブに踊りに行こうかとい う話になり、私はちょっと外出用に着替えて出かけたんだけど、友達は昼間の服と同じ、カジュアルな格好で来てた。こっちだとあまり考えられないことで、な んて頭が柔軟なんだろうと思った。重要な事は他にあって、別に人がどんな風な髪型にしようが、どんな服を着ようが気にしない。それは今でも恋しく思う事。 こっちにももちろんそういう人はいるけれど、バルセロナはこちらよりももっと自由な感じだった。少なくとも自分が動く範囲では。向こうでは私は大学生だっ たし。もしこれが仕事を探すとか仕事をするとかになればまた違ってたと思う。
ー テーマを変えて今アマンダが手がけているムラル(壁絵)の事を。どうしてムラルを始めたの?
Amanda. フ アンの姪っ子の家の子供部屋のムラルを描きに行ったんです。それでデコレーションのお店にそれを紹介して、引き続き仕事を引き受けてます。
ー ムラル以外にはどんなことをやるの?
Amanda. デ ザインもやるし、個展、絵を販売したりとか。絵の注文を受けて描く事もあります。
それ以外に今問合せされているのが、家具に絵を描く事。
ただ、今現在はムラルを中心に動いてみている所です。