-ヘレスに来たきっかけは何ですか |
日本でフラメンコ(踊り)をやっていたときに最後に習った先生がヘレスのブレリアを教えてくれて、その時初めてCDを聞き面白いと思い、初めてスペインに留学した時からヘレスでブレリアを習いたいと思っていました。ただ、ヘレスには踊りの教室が少なく上達の為に他の場所で基礎をつけてからヘレスへ来ようと思っていて、マドリッド・セビージャでの留学を経てヘレスに来ました。ヘレスは好きだったのでセビージャに滞在していた時はヘレスのフラメンコペーニャにしょっちゅう通っていました。 |
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-スペインに来てからどのくらい |
95年に3ヶ月いて、その後96年から継続してスペインにいます。
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-私は以前タブラオでまきさんが踊っているのを見たことがあったけど、現在フラメンコ活動はどのようにされていますか |
フラメンコは3年前からほぼ関わっていないです。 |
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-何故今フラメンコに関わっていないんですか |
私は今までフラメンコは自分の外にあるものだと思っていたんです。誰かがフラメンコを持っていて私はそれをもらいに行き、そのもらった物が自分の中で積み重なっていくイメージでした。教わって教わって、吸収して吸収してって感じ。でも実は、そうじゃなくて、自分の中にあるフラメンコを見つけてそれを育てたかったという事がわかり、外からフラメンコを吸収するんじゃなくて自分自身のフラメンコを探して温めていこうと思いました。そう思ってみたら求めている物はフラメンコフラメンコしたものではなかったんです。フラメンコのアートが持っている何かが私をフラメンコにひきつけていたのだけど、例えば「言葉」だとしたら「スペイン語」とか「日本語」とかあるけれど、スペイン語自体を習得したかったわけではなく、スペイン語の中にある何か・・文化とか・・が私をひきつけていた感じ。フラメンコの周りじゃなく中にある何かが私をひきつけていて、それは最終的には自分の中にあるということが確認できました。そしたら私はやっぱり日本人だし、私は私だし、私の中のフラメンコと共通する何かというのはフラメンコ語じゃなくて違う言葉でも違う表現でも表すことができるかもしれないと思ったんです。まだそれが「何か」というのは形になってはないけど。
これからはフラメンコのクラスは取らないとか見に行ったりしないとかそういうことではなく、外に外に求めていくのはもう十分やったと思っています。
当初、フラメンコを始めたときに自分が「こうなりたい」とか「こうやりたい」と思ったものはこれまでに全部やってみました。それで思っていた目標を達成した時点で、さらにフラメンコの世界の中でもう一歩踏み込んだ目標が作れたけれど、それには興味が持てなかったんです。 |
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趣味のパン作りを見学
真紀さんの手作りパンは
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今改装中の自宅にて
時々開催予定のカフェで いただくことができるかも?
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-今はどんなことをしていますか |
家の改築工事の仕事と地域通貨のグループの運営と自分の畑、これが今行っている3つの大きなことです。
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-地域通貨に関して、どんな活動をしていますか |
地域通貨は日本にも沢山団体があるけどヘレスにはまだありません。ヘレスのフラメンコに惹かれてここに住み始めたのだけど、ヘレスのフラメンコってやっぱり生活に密着しているというところがあって辿っていくとここの人たちの日常の生活というのに惹かれてる自分がいました。どんな所に惹かれたかというというと、日常生活のリズムがものすごくゆっくりだったりあまりお金がなくても自分達で楽しめる物が沢山あってそういう時間と空間と人間関係がある。ローカルな所でほぼ完結された生活スタイルがいい意味で存在していた。それがここ数年特にユーロになってから経済状態が急ピッチで変わってきて、経済の動きが変わると共に人の生活も変わってしまって、目に見えて生活的にいいなと思っていた部分がなくなってきています。
今まで私が得てきた情報だと地域通貨にはそれの一つの解決策となりうるものがあるように思います。何かやりたいと思う時にいつも障害になるものは経済状態。自分もそうだし自分の仲間も家庭もそうだし。やっぱり行き着くところはお金。お金があればできるのにとか、お金がないからやらないとかお金ができないからできないとか言って終わってしまうことがある。お金は物とサービスを循環させる一つの媒体でしかないわけだけれど、今の経済システムではそれ以上の性質を持ってしまっている。本来お金は、物とサービスを他の人と交換する為の約束の媒体でしかなかったわけだからそれ自体には価値がなくてただの約束。ここは失業率がすごく高くて、でも働ける人は沢山いて仕事も沢山ある。例えば町一つ見渡しても「この家修理した方がいい、改装した方がいい」というお家は沢山あるのにお金がないから改装・修理ができない。もしそこからお金を外したら仕事はあるし人材もあるし、お金に変わる媒体を作ればいいのではないかと思い友達を誘いグループを立ち上げました。 |
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-今結構人数いますよね |
今の時点では50人。今1年半たち新しくグループを立て直そうと思っています。今までは実験的に友達同士の間で活動を行っていたのですが、少し友達の輪から出てもっと積極的にヘレスの社会体勢の中に入っていきたいと思っていて今ちょうど過渡期。
何にもやらずいれば事なきを得るというのではつまらないので、ないのであれば自分で作りたい。ないところから作るとその過程に必ず問題・障害があるけど、問題は問題として直面し受け入れることで視野が広がるし、生きている感覚が生まれるように思います。 |
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-ヘレス滞在の日本人が参加したい場合参加可能ですか |
規則に反しないようにすれば、例えば入ったときにもらえる額の地域通貨があるのだけど短期滞在の外国人でも出て行くときに同じ額にして運営委員会に返してもらえれば参加しても問題ないです。1週間くらいだともしかしたら短すぎるかもしれないけど、外国人だからとか短期しかいないからダメとかいうことはありません。逆にそういう外国人にも入ってもらったほうがより活性化するのではないかと思っています。
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-ヘレスの人と外国人の間でもっとコミュニケーションが取りやすくなればいいですね
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新しくヘレスに来た外国人やヘレス以外のスペイン人にとって知合いを作るのは時間がかかることだと思います。地域通貨のシステムは、このような新しい人々にとっては社会に溶け込んでいくのに一役かってくれるのではないかと思うし、ヘレスの人々にとっては今まで知らなかった文化を知るきっかけになるのではないかと思います。
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