■ヘレスで暮らす人々~第二回 堀 有紀子さん
現在セビージャに住むゆきこさん。少し前までヘレスに住んでいたのだけれど、今は仕事の都合上セビージャに引越し、ヘレスとセビージャを往復する生活を送っています。フラメンコがきっかけでヘレスに来て暮らすことを選ぶ人が多い中、旅行好き、ホームステイ好きでヘレスに短期滞在したのがきっかけとなってここで暮らし現在はガイドとして働く異色の存在。
今日はインタビュー後少しだけセビージャの町を案内してもらいました。
インタビュー:2008年6月
 
  個人旅行のプラン作成からガイドまでお任せください。
詳しい事はメールにてお尋ねください。
E-MAIL:yukikoh1213@hotmail.com
旅するアンダルシア:http://www.tabisuruandalucia.com/
堀 有紀子ブログ:http://ameblo.jp/hispalis
 
-ヘレスに来たきっかけは。
仕事に役立つ程度のベーシックなスペイン語習得のために3ヶ月間仕事を休んで来た町が偶然にもヘレス。
-ヘレスでフラメンコ留学生はよく見かけるけど他はあまり見かけないし、「よしヘレスに留学しよう」と第一候補に上がるような町にはなかなかならないし、何故ヘレスだったんですか
3ヶ月の滞在を考えた時、添乗の仕事で出会ったアンダルシア在住の日本人に連絡を取り、お薦めの町を探してもらうことにしました。
3ヶ月の間最低でも1ヶ月は語学学校とホームステイをしてみようと思って。
場所は大好きなアンダルシア限定で、都会過ぎず田舎過ぎず、せめて語学学校がある程度の町が良いとリクエストをしておきました。それで送られてきたのがヘレスの語学学校の連絡先。その語学学校に連絡し、ヘレスに来ました。
-スペイン語や文化を学ぶために語学学校やホームステイを考えていたんですか
実は私は「ホームステイおたく」みたいなもので、色々な国で短期滞在をしては語学学校に行き、ホームステイして暮らすのが好きです。スペインの前にもアメリカ、オーストラリア、カナダで滞在した経験があったんです。学校は他の学生との交流・情報交換の場。ホームステイではその国の家庭に入って生活ができるので、海外に短期滞在する場合、できる限りホームステイをし語学学校に行くというスタイルで滞在することにしています。
-スペインに来たのはいつですか
最初に来たのは学生の頃。その頃学生が1人又は2人という個人単位でバックパックを背負い安宿に泊まって海外を旅行するのがはやっていて、私もバックパッカーとしてスペインを周りました。それが1992年セビリア万博のあった年です。
それから大学を卒業し、旅行好きが高じて旅行業界に就職しました。その会社は海外旅行の卸しから企画を行う会社で、その後転職し海外旅行添乗の仕事を行うようになりました。そんなわけで結局スペインへは1992年以来添乗員として何度も来る事になりました。
その後、長期休暇を取って、へレスに滞在。それがいつの間にか長期滞在ということになりました。
-仕事について、こちらではどんな仕事をしていますか

ここではアンダルシアを中心としたガイドとして働いています。
ガイドという仕事は世界情勢によって変動の大きい仕事でもあります。例えば今はユーロ高。以前に比べるとヨーロッパに訪れるツアー客が少ないです。

ガイドをするにあたっては多くのガイドがそうかもしれませんが、私も自分の足で色々な場所を歩いてみる事にしています。
そこで知らなかったことや新たなことを発見し、その歴史をたどる。そういうことが好きだから続ける事ができる仕事ですね。

-セビージャに引越したのはどうしてですか
アンダルシア周遊ツアーとなると、州都セビージャ起点のものが多いです。ヘレス・セビージャ間はそれほど遠くないし、これまではいつも通っていましたが、交通機関の関係でトラブルが生じストレスになり長年住んだヘレスをとりあえず離れてセビージャに住む事にしました。
-スペインを旅行すると、どこの町にも歴史があり古い建物があって、私は時々ガイドの説明を聞きながら周りたくなるのですが、お願いすると個人旅行のガイドを引き受けてもらうことはできますか
もちろんです。
旅行プランの作成からガイドまで、アンダルシアを中心にスペイン国内(+ポルトガル)の旅行なら引き受ける事ができます。
-最後にスペインに住んで思うことをお聞きしたいのですが

色々ありすぎますが・・・・・まず驚いた事。
最初に気になったのは仕事をする人のマナーの違いです。たとえば銀行の窓口で銜えタバコで接客するのには驚きました(これは法規制前のこと)。銀行に限らず、お店やバルなどでお客さんに対する態度の違いはすごく感じます。スペイン的にみると、日本ではお客様を大切にしすぎ、サービス過剰。日本側からみると、こちらでは客を客と思ってない人が相対的に多い・・・。

ここで生活して良いなと思うことは家族を大切にする意識。
例えば、日曜日のお昼はたいてい結婚して家を出ている子どもたちも実家に集まり母親が作った料理を食べ、孫たちもいればさらに大賑いになる。それからアンダルシアにはまだシエスタの習慣があるので平日は昼間家に戻り皆で一緒に食事をとる。家族と居る時間が本当に長く、大切にされています。
スペインに住んで良かったことは日本の良さがよく見えるようになったこと。遠く離れることで、これまで気付かなかった自分の国の事・自分の状況について気付く事ができたこと。

日本からスペインに戻る時、マドリッド行きの飛行機のゲートで待っていると、がやがや騒々しくなる。これはスペイン人のテリトリーに戻ってきたという証拠。彼らの賑やかなスペイン語を聞くと「あー帰ってきた」とホッとするような、でもまた騒々しいところに戻ってきてしまった…とも思ったり。
そう、彼らは他人同士でも、すぐに会話が始まるのです。飛行場のような待合スペースはもちろん、銀行や郵便局での順番待ちのとき、スーパーなんかでレジに並んでいるとき、、、etc.黙ってられない国民性のようです。今では私にもだいぶそれがうつってきました。

 
堀 有紀子(HORI YUKIKO)
大阪府出身。学生の頃から海外旅行好きでアルバイトも就職先も旅行会社。バックパッカー、ホームステイ等体験型旅行を重ね、最終的にたどり着いたスペイン、へレスでガイドとして働き始める。その他、経験を生かして個人旅行のアレンジ、通訳・翻訳等と範囲を広げる。現セビージャ在住。
 
有紀子さんお勧め
スペインに関する本
 
  バックパッカーのバイブル的存在。スペインも登場  
  深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)  
  なかなか的を得た本。スペイン語ゼロの人にもわかり易い  
  旅の指さし会話帳〈12〉スペイン ここ以外のどこかへ!ヨーロッパ  
  ハラハラドキドキの逢坂剛スペインシリーズ  
  スペイン灼熱の午後 (講談社文庫)  
  セビリアを舞台にしたオペラといえばまずはこれ  
  カルメン (岩波文庫 赤 534-3)  
 
 
 
《大聖堂》
コロンブスも眠る大聖堂は15世紀創築。鐘楼=ヒラルダ(風見鶏)の塔はセビリアのシンボル的存在。その展望台からはセビリアが一望できる。
 
《スペイン広場》
映画の舞台としてスターウォーズにも登場するほど有名なスペイン広場。セビリアのタイルで装飾された色鮮やかな各県のベンチは必見。
 
 
《王宮》
アルカサール(王宮)は元々はアラビア語。10世紀頭のイスラム王宮が起源。13世紀半ば以降キリスト教化。タイル・漆喰・寄木細工が素晴らしい。
 
《市庁舎》
16世紀カルロスⅠの時代に起源をもつ市庁舎は19世紀に拡張されて現在の大きさに。市電の発着場でもある。内部見学も可。観光案内所もある。